ラグビーは何人で行うスポーツか知っていますか?
2019年に日本でラグビーワールドカップが開催され、世界中から人が集まり、日本代表の活躍もあってか、全国各地で大盛り上がりを見せましたよね。
ではこのラグビーワールドカップで、各チーム何人で試合を行っていたでしょうか?
正解は15人です。
野球やサッカーの人数と比べると、とても多く感じますね。
ただ他の競技とは違い、実はラグビーは15人だけではなく、13人で行う別競技があるのをご存じですか?
日本において、いわゆるラグビーというのは15人制を指しますし、高校、大学ラグビーも基本的には15人制で行っています。
その為、日本のラグビーファンにとっては13人制のラグビーはなじみがない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、15人制と13人制のルールの違いについてご紹介していきます!
ラグビーユニオン(15人制)とラグビーリーグ(13人制)
15人制はラグビーユニオン、13人制はラグビーリーグとそれぞれ呼ばれています。
同じラグビーという名前を冠しているので、別競技ではあるものの、類似点も多くあります。
たとえば使用するボール(楕円)、スクラム(ただし押し合わない)、トライ、トライ後のコンバージョンキック、ドロップゴールで点が入る、前にパスを出してはいけないといった点は15人制にも13人制にも共通している部分です。
双方に共通点が多く、似た競技であることから15人制で活躍していた選手が13人制へ転向したり、その逆もまた然りと、両競技を行き来する選手もいます。
有名な選手を挙げると、元オールブラックスのソニービル・ウィリアムズ選手はユニオンだけではなく、リーグでもニュージーランド代表(通称キウイズ)にも選ばれています。
また両競技の性質として、ラグビーユニオンはアマチュアリズムの理念を尊重してきた一方で、ラグビーリーグは発足当初からプロ化に積極的でした。
このことから、ユニオンは金銭が発生するワールドカップの開催を長く渋っていたため、初開催が1987年とまだ歴史が浅いのに比べ、リーグは1954年からワールドカップが開催されており、実はリーグのほうがワールドカップの歴史は長いのです。
このように両競技は異なる点も似ている点も併せ持っています。
15人制ラグビーと13人制ラグビーの違い
15人制と13人制の違いは、下記のとおりです。
- モール、ラインアウトといったセットプレーがない
- スクラムは6人で組み、15人制のように押し合わない形式的なものとなっている
- 防御側のタックルが成立すると、タックラーは3秒以内にその場を離れ、タックルされた側のプレイザボール(立った状態からボールを後ろに転がすプレイ)で再開する
- タックラーはタックルした後、味方の防御の陣形が整う時間を稼ぐために、3秒間は相手を押さえつける場合がほとんどである
- タックルされた側は、プレイザボールを行うまでボールを離してはいけない
- プレイザボールを行うタイミングは、レフリーが「ヘルド」と掛け声をしてから
13人制の特徴をざっくり言うと、15人制よりもスピーディな展開を志向しているため、時間のかかるセットプレーが存在しません。
15人制のようにほとんど試合が止まらず、ボールも選手も常に動き続けるため、見る側も盛り上がりやすく、非常にエキサイティングなスポーツとなっています。
オーストラリアでは13人制ラグビーのほうが人気?

我々の感覚からすると、ここ日本ではラグビーと言えば15人制のことであり、13人制は15人制ほどメジャーではありません。
しかし国によっては13人制のほうが人気な国があり、代表的なのがオーストラリアです。
オーストラリア国内では近年15人制の人気の凋落が問題視されており、その理由の一つに13人制ラグビーの人気があります。
また13人制だけでなく、オーストラリアにはオーストラリアンフットボール(通称オージーボール)と呼ばれる競技があり、こちらもラグビーなどと並び、国内の人気スポーツとなっています。
こういった背景から、運動神経抜群の選手は15人制以外の競技に流れてしまうことがあり、アメリカのスポーツ万能な選手がみなアメフトに流れてしまう構図と似ています。
こういった背景から、15人制のワールドカップで2度優勝している超強豪国にも関わらず、近年はその人気と実力の低下が問題視されています。
ちなみにオーストラリアの他にも、ニュージーランド、イングランド、フランスなどでも13人制は人気があるそうですが、パプアニューギニア、レバノン、ギリシャといった15人制ではほとんど名前を聞かない国でも人気を博しています。
オリンピックではラグビーは7人制?
オリンピックで行われるラグビーは15人制、13人制とも異なる7人制(通称セブンズ)の競技として行われます。
ラグビーという名前ではあるものの、15人制、13人制とはまた異なるルールの競技です。
そのルールをざっくり挙げると、
- 前後半7分ずつとかなり短めの試合時間
- 1日に複数試合行われることがある(オリンピックは1日2試合)
- コンバージョンキックやペナルティキックはキックティーを使わず、ドロップキックで行う
- スクラム、ラインアウトは3人ずつで行う
- トライ後のキックオフは、得点したチームが行う
- シンビンは2分の欠場となる
などです。
15人制や13人制との違いが明確ですね。
競技の傾向として、人数の少なさゆえに両チーム常に走り回る非常にスピーディーな展開となります。
基本的に攻撃側が有利なので、キックオフ時のボール獲得が勝敗を分けると言われるほど、いかにボールを保持できるかが重要になってきます。
逆にボールをロストすると、一気に大ピンチとなってしまいます。
15人制の選手が出場することも
こちらもまったくの別競技というわけではないので、15人制の選手が7人制を行うこともありますし、その逆もまた然りです。
2016年のリオオリンピックでは、2019年のワールドカップに出場した福岡堅樹選手や、レメキ選手が出場していました。
余談ですが、オリンピックで15人制や13人制のラグビーが行われない理由は、オリンピックの開催期間中に試合を消化しきれないからです。
ラグビーという競技はその過酷さゆえに、試合間の日数は、1週間程度空けるのが一般的です。
ただしオリンピックの開催期間は3週間程度しかないため、現在の参加国12チームでトーナメントを行おうにも3週間では期間が短すぎるのです(戦前は15人制で行われていたらしいですが…)。
そのためオリンピックでは7人制でのラグビーが行われます。
ちなみに2016年から新競技として加わりました。
ラグビーワールドカップが世界3大スポーツ大会として世界的に人気が高いのも、15人制のA代表のトーナメントがワールドカップでしか行われないからだと言えます。
パラリンピックでは「車いすラグビー」が行われる
パラリンピックでは上記のいずれとも異なる車いすラグビーという競技が行われます。
マーダーボール(殺人球技)という別称があるほど、激しいコンタクトプレーが繰り広げられます。
車いすラグビーもまた、15人制や13人制、7人制などとは大きくルールが異なります。
細かい部分については割愛しますが、ざっくりとその違いを説明すると、
- ボールが楕円体ではなく、普通の球体のものを使う
- 4クォーター制で、1クォーターあたり8分
- 各チーム4人、ただし障がいの度合によって各選手に割り振られた得点があり、その得点の合計を8点以内に収める必要がある
- 前方にパスをしても良い
- 時間内に相手陣内に侵入しなければならない/トライをしなければならない
- 相手陣内のトライラインを通過するとトライとなり、1点追加となる
- 男女混合で行う
といった特徴が挙げられます。
競技の傾向として、どれだけ得点をするか、というよりもミスをした分だけ負けに直結するので、いかにミスをせず得点を重ねられるか、が大事です。
こちらも手に汗握る大変面白い競技なので、東京オリンピックで見逃した!という方は2024年開催のパリオリンピックでチェックしてみて下さい!
それぞれのラグビーの違いを知って楽しもう
一口にラグビーと言っても、15人制、13人制、7人制、車いすラグビーという異なる競技があります。
どの競技もそれぞれ違った面白さがあるので、他の競技を見たことないという方は、ぜひ一度見てみて下さい。
どのラグビーにも共通するのは、ラグビーの最大の魅力でもある、コンタクトプレーが繰り広げられることです。
これは他の球技にはあまりなく、ラグビー好きな人であれば、あの激しいタックルに魅了されている方も多いと思います。
なので、15人制からラグビーにハマったという方は、他の競技を見てみても面白いと思えること間違いナシ。
ぜひ色々なラグビーを知って、ラグビーの新しい一面を楽しんでください!