【世界の国歌】国歌鑑賞のススメ~国歌で楽しむ世界の国々

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皆さん、国歌って聞くことありますか?

たぶんほとんどの方がいいえと答える質問でしたが、そんな方々に向けて、この記事では国歌の素晴らしさを伝えていきます!

…が中々マイナーなテーマなので、全然興味をそそられないと思います。

そこでこの記事では主にサッカー、ラグビーのワールドカップなどで歌われている映像を通じて紹介していきます。

こういった誰でも一度は見たことのある馴染み深い映像であれば多少とっつきやすいかなと。

国歌について今まで特に何も思ったことがなかったという方は、実は国歌ってかっこいい、アツい、メロディがいい、などなどこの記事を通して世界の国歌に対して何かしらの感情を抱いてもらえれば大変嬉しいです。

まぁ言葉で色々語るよりまずは実際に聞いてもらったほうが良いかと思うので、まずは下の動画を覗いてみてください。

スコットランド国歌「Flower of Scotland(スコットランドの花)」

初めて聞いた時はまるでゲームの「ファイヤーエンブレム」で流れてそうなカッコいいメロディーだなと思いました。

この歌は1314年のイングランドとの戦争を題材にしており、歌詞にも当時のイングランド軍を率いた将軍の名が挙げられ、彼を撤退させたとあります。

この戦いの後、スコットランドは一時的に独立を果たしました。

国歌の良さは大きく2つ、シンプルにいい歌が多いこと、そして何よりも良いと感じるのが国歌の背景を知ることでその国のルーツ、歴史を知ることが出来るということです。

詳細は後程書いていきますが、まず前者に関しては言葉の通りです。

当然流行りの音楽等とは異なるジャンルではありますが、クラシックなんかを聞く要領で聞いてみると、日常的にも全然取り入れられる音楽が多いです。

また後者に関して、国歌の歌詞の意味や成り立ちを紐解いていくとその国の歴史が垣間見えてきます。

の国の人達にはどんな背景があるのか、どういう歴史を経て今の国があるのか、など様々な情報を知ることが出来るので、世界の国々の見方が変わるようになります。

というわけでこの記事では国歌の魅力について、音楽的な部分と歴史的な部分の2つの観点から紹介していきます!

南アフリカ共和国国歌「The Republic of South Africa」

南アフリカ建国の父とも呼ばれるネルソン・マンデラ氏によって制定されたこの歌ですが、構成が完璧なんですよねー。

前半は賛美歌のような美しいメロディー、後半は一転してリズミカルなメロディーに変わります。

これはもともと2つに分かれていた曲をアパルトヘイト(人種隔離政策)終局に伴い、マンデラ氏が合体させた為なんです。

国歌の魅力① シンプルにいい歌が多い!

まずもってこれです。ちゃんと聞いてみると本当にいい歌が多いんですよね。

ノリが良い歌もあれば、落ち着いた雰囲気の歌、厳かな歌など、世界には200近くの国と国歌が存在しますので、曲調も多岐にわたります。

ただ意識的に国歌を聞いたことがない人からしたらどの国歌が良いのかさっぱり分からないかと思いますので、ここではシーン別にオススメの国歌を紹介していきます。

是非ご自身の気分によって聞き分けてみて下さい。

やる気を出したい、テンションを上げたいときは-めちゃくちゃ陽気な南米の国歌を!

まずは聞くだけでテンションが上がる国歌を紹介していきます!

テンションが上がるといえば南米の国歌です。南米諸国の国歌は総じてとにかく陽気で情熱的でアップテンポな歌が多いです。

ブラジル国歌「Hino Nacional Brasileiro」

国歌が流れ終わった後にもアカペラで響き渡る歌には圧倒されます。

この歌の歌詞はブラジルの独立を題材にしています。

ポルトガルによる植民地支配から逃れた喜びを歌っており、歌詞冒頭に「イピランガ」という地名が出てきますが、これは当時のブラジル皇帝が独立を決め叫んだ地を指します。

当時フランスの侵略から逃れるためにポルトガルの王室や貴族らは植民地支配をしていたブラジルへと移り住みました。

やがてフランスの脅威は去り、移り住んだ王室一同はポルトガルへ帰国することになるのですが、ブラジルの支配を続けるために、そのうちの一人を残しました。
その彼が後にポルトガルとの国交を断ち、ブラジル独立を宣言しました。

こういった背景から、南米はスペイン語を公用語とする国がほとんどですが、ブラジルではポルトガル語を公用語としているのです。

アルゼンチン国歌「Himno Nacional Argentino」

アルゼンチンと言えばサッカーですが、サッカーの試合で流れる場合は歌の部分が丸々カットされている為、ラグビーの映像を紹介しています。

ブラジル国歌と同様にとてもアツいメロディーですよね。
余談ですが、アルゼンチンはラグビーも強いです。

この歌もブラジル同様に、スペインによる植民地支配からの独立を題材に歌われています。

自由、偉大なアルゼンチン人、栄光の為なら死ぬことを厭わない、などといった歌詞の内容から当時の独立への強い気持ちがひしひしと伝わってきます。

南米諸国は1800年代頃までは西洋の列強に植民地支配されていた国がほとんどなんですね。なので国歌にも独立を題材にしたものが多いです。

あとイントロがとにかく長い歌が多いです。

ウルグアイ国歌「Orientales, la Patria o la Tumba(東方人よ、祖国か墓か)」

世界最長の国歌であり、フル尺でなんと6分にも至ります。

これは当時対立関係にあったアルゼンチンと競い合うようにして歌詞をどんどん付け足していった結果だそうです。まるでコントですね。
スポーツの大会では短縮版が使用されています。

この歌もほかの南米国歌と同様に独立について歌っています。歌詞に「自由よ」と何度も出てくることからも独立へのたぎる思いが伝わります。

ウルグアイを巡る争いは長く、スペインとポルトガルの取り合いから始まり、その後ブラジルによって支配をされ同国と「500日戦争」と呼ばれる1年以上に及ぶ戦争を経て、ようやく独立を果たしました。

またしてもスペインとポルトガルが関わっています。
当時の南米諸国においていかに両国が幅を利かせていたかよく分かりますね。

イタリア国歌「Inno di Mameli(マメーリの賛歌)」

歌詞に「スキピオ」という人物が出てきますが、これは遥か昔ローマ帝国がカルタゴ(現在のチュニジア辺り)のハンニバル将軍に攻め入れられた時に、見事返り討ちにした将軍の名前です。

海外ではこういった国の英雄の名前を歌詞に入れているケースも多々見られます。

サモアの国歌「The Banner of Freedom(自由の旗)」

行進曲のような堂々としたメロディーに気分が高揚してきませんか?

この歌はニュージーランドによる支配が終わり独立したときに作られたものです。

国教はキリスト教の為、歌詞にイエス・キリストの名前が出てきます。

サモア国内には民家とは比べ物にならないくらい豪華な造りをした教会があるそうで、国民の敬虔さが伺えます。

週末の夜や日曜の午後など、落ち着いた気分には-各大陸一押しの美しい国歌を!

ここからは美しいメロディーラインが特徴の、落ち着いた雰囲気の国歌を紹介していきます!

ウェールズ国歌「Hen Wlad Fy Nhadau(我が父祖の土地)」

牧歌的な、伸び伸びとしたメロディーはとても心地よいです。

曲名からも分かるように、ウェールズは公用語として英語に加えウェールズ語というものを使っています。
国歌の歌詞にはすべてこのウェールズ語が適用されています。

現在はイギリスを構成するカントリー(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)の一つですが、元々は独立した国家で、ウェールズ語をはじめとする固有の文化を有していました。

しかしイングランドからの侵攻や国内での内部紛争などにより弱体化したウェールズは、1200年代末にイングランドに併合され、その後も度重なる争いがあったものの、独立は果たせず。

20年12月現在もイギリスの一部ではありますが、当時の名残が今もまだ残っており、ウェールズ語も消失することなく今も使用されています。

スロバキア国歌「Nad Tatrou sa blýska(稲妻がタトラの上を走り去り)」

レクイエムのような重厚さを帯びた、荘厳なメロディーです。

中欧の国々は近代まで西欧の列強に支配されており、世界大戦後の独立運動などで誕生した新しい国が多いです。

スロバキアもその一つで、1993年にチェコと分断し誕生しました。

この歌は1800年代にハンガリー帝国の支配下にあったスロバキアで民族運動を指揮していた指導者が、ハンガリーにより追放され、それに対する抗議運動の最中で生まれた歌です。

曲名にもあるタトラとはポーランドとスロバキアを横断する山脈の名前です。

イラン国歌「Mawtini(我が祖国)」

この歌はもともと国歌として定められていましたが、サダム・フセイン政権時代には別の歌が国歌として認められていました。

しかし2003年アメリカとの間で起きたイラク戦争によりフセイン政権が崩壊し、その後再びこの歌が国歌として制定されました。

最後にアフリカに位置するナイジェリアの国歌「Arise O Compatriots, Nigeria’s Call Obey(立て同士よ、ナイジェリアの声に従え)」を紹介します。

ナイジェリア国歌

アフリカ大陸の国々も南米諸国と同様に西欧の列強により植民地支配されており、ナイジェリアも例外ではありませんでした。

1960年にイギリスによる植民地支配が終わり、ナイジェリアは独立を果たします。

その後にこの歌は作られました。

独立後ようやく平穏が訪れるかと思いきや、国内ではその後クーデターが乱発。今に至るまで国勢は安定していません。

国歌の魅力② 世界の歴史を知ることが出来る!

ここまで一通りオススメの国歌の紹介とともに、その国の歴史についても簡単にお話をしてきました。

これまで書いてきた通りですが、国歌の成り立ちと歌詞について掘り下げていくとその国の特性や歴史を知ることが出来ます。

様々な国の歴史を学ぶことは一般常識として教養を深められるのはもちろんのこと、海外旅行によく行く方などは、その国のルーツを知った上で旅行をするほうが何倍も海外を楽しめます

例えば綺麗な建造物や風景などを見た時に、それに関する知識がないとただ綺麗だ、という感想で終わってしまいますが、知識があれば「ここがあの○○か!」とより深い観点で楽しむことが出来ます。

また外国人の方とコミュニケーションを取る際の武器にもなり得ます。

これは個人的なエピソードですが、海外でスポーツの試合を観に行った際にその国の国歌を歌っていたら、近くにいたその国の方にありがとう、と声をかけてもらったことがあります。

さてここでは前のパートで紹介しきれなかったものの、世界的にかなり有名な国歌をさらに3つ紹介していきます。

イギリスの国歌「God Save the Queen(神よ女王を守り給え)」

歴史も長く、世界的に知名度も高いこの歌ですが、イギリスの国歌にとどまらず、ニュージーランドでも国歌として認められています(ニュージーランドにはもう一つ「God Defend New Zealand(神よニュージーランドを守り給え)」という国歌があります)。

その他にも王室歌としてカナダやオーストラリア、ジャマイカなどの国でも歌われています。

上記の国に共通するのは、いずれも元々はイギリスの支配下に置かれていた国だということ。

その影響から今でも歌われているんですね。イギリスが昔からいかに強大な国であったかが分かります。

フランス国歌「La Marseillaise(マルセイユの歌)」

1789年に起こった世界的にも有名な出来事であるフランス革命の際に生まれた国歌です。

フランス革命とは、当時のフランスを支配していた旧体制派を打ち破るべく、一般市民を中心に起こった争いです。

この革命は現在の資本主義を確立するための大きな出来事の一つであり、世界の歴史的にも非常に重要な出来事であったと言われています。

そんな革命の最中に、市民側のマルセイユの兵士たちで間でこの歌が歌われていたそうです。

歌詞もなかなか強烈で、「血みどろの旗が掲げられ」「喉を搔き切る」など非常に凄惨な場面を想起させるような言葉が使われています。

いかに革命当時の争いが凄まじいものだったかを思わせます。

アメリカ国歌「The Star-Spangled Banner(星条旗)」

これは非常に有名なので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

この歌は1800年代の米英戦争の時に生まれ、その後国内で人気を博し1931年に正式に国歌として認められました。

当時アメリカとイギリスの間でカナダ領土を奪い合う為に戦争が勃発しました。
その際にあるアメリカ軍の砦がイギリス軍に攻撃されたのですが、その攻撃後も無事に掲げられていた星条旗を見たアメリカ人がこの歌を思いついたそうです。

実は歴史が浅いアメリカですが、この頃にはもう西欧の列強たちと肩を並べるくらいの存在になっていたんですね。

国歌を知ってその国を楽しもう!

ここまで紹介してきた国歌はあくまで世界のほんの一部にしか過ぎません。

ここで紹介しきれなかった魅力ある国歌はまだたくさんありますので、この記事で興味を持ってくれた方はさらに調べてみて下さい。

この記事で各国の歴史について簡単に紹介をしてきましたが、私も初めからその歴史を知っていたわけではありません。

国歌に興味を持ち、そのルーツを調べるうちにその国のことについて段々と分かるようになってきました。

国歌を知り、その国を知り、そしてその国の人を知ることで、外国人とコミュニケーションを取るときの助けになりますし、何より自分の世界への扉が大きく広がっていくと思います。

是非皆さん国歌を好きになって、世界の色々な国々を楽しみましょう!

※最後に私が国歌を好きになるきっかけとなったプロジェクトを紹介します。
元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊彰さんによって結成され、国歌をみんなで覚えて歌うというこのプロジェクトはラグビーワールドカップを盛り上げる一因となりました。

Scrum Unison(スクラムユニゾン)OFFCIAL WEBSITE
2019年、廣瀬俊朗/村田匠/田中美里により発足。世界から集まる選手やファンを「国歌/ラグビーアンセム」を歌っておもてなし。

また上記プロジェクトとは別にこんな企画もあります。興味のある方はぜひ。

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